2013年6月27日木曜日

LCC、これからのシナリオ

すでに報道されているように、エアアジアジャパンが全株式をANAホールディングスに売却し、ANAとの合弁を解消することになりました。10月31日まではこれまで通りエアアジアジャパンとして運行しますが、11月からの予定は未定。

ANAでは、「日本のおもてなしの心」を打ち出したまったく新しいLCCをスタートするとしています。しかし、いまから準備して果たして11月までに間に合うのかな。

一部では、同じANAグループの傘下にあり、関空ベースで事業を展開しているピーチが引き継ぐとも報道されていますが、「これはないだろ」というのが私の見方。以下、理由です。

  • 成田空港は制約が多すぎて、そもそもLCCの拠点としてふさわしくない。どこがやっても黒字化は難しそう。今度新たに作るLCC専用ターミナルも建設費がかかりそうな仕様だし、これでは使用料も高いでしょ。
  • ピーチは24時間運用可能な空港を拠点にする主義。関空しかり、那覇空港しかり。
  • まだ単年度黒字化も果たしていないピーチがわざわざ重荷を背負い込むとは思えない。

ピーチへのANAの出資比率は39%。子会社ではない(連結対象ではない)し、ANAが「頼むよ」と言ったところで、ピーチ側がそれを受ける義務もないし、その気もまったくないでしょうと思うのです。成田に就航するとはいっても、それは成田をベースにするというのではなく、関空からの就航都市の一つであるだけ。ピーチにとって成田は札幌や福岡と同じ位置づけなんだよね。
ピーチがエアアジア・ジャパンの事業を引き継ぐなんて、本当にあり得る?

以上は私の勝手な見方です。大人の事情でどう動くかわからないのがビジネスの世界ですからね。一寸先は闇。もう少ししてから「あれれ、読みが違ってた」なんてことも大いにありうる。その場合は、いまから誤っておきます。「読みがはずれてすみません」。

ピーチがやらないとすれば、ANAがどんな風に新しいLCCを立ち上げるのか、興味津々ですが、レガシーキャリアが手を出して(しっかり関与して)成功した例がないのがLCC。ピーチはANAとは関係なくLCCのビジネスモデルを構築したのが幸いしたけど、ANAがやってうまくいくかね?「日本のおもてなし」って言ってますが、それは「コスト高」と同意語じゃん。いまから心配になっちゃうよ。

ただし、ANAがエアアジアとの提携を通してLCCのノウハウをしっかり吸収したのだとすれば、それはそれで面白い。準備期間が短すぎる気がするけれど、実は合併解消をもっと前から見越して着々と準備をしているのであれば、ANAはすごい(腹黒いという意味で)。エアアジアは立つ瀬がないけど。

あるいはこういうシナリオも考えられるな。LCCのブランド名としてはピーチが断然先行しています。知名度は高いし、なんとなく「日本生まれのピーチはやっぱりさすがだよね」「Made in JapanのLCCを応援しよう」みたいなナショナリズム的空気もあるから、この流れを生かし、例えば新会社名をピーチウエストピーチイースト*なんかにして、「前とは違うよ。日本向けにローカライズしたLCCでっせ」とアピールするとかね。うん、この方が現実味がある気がしてきた。せっかくピーチブランドを生かさない手はない。
   *最初に「ピーチウエスト」なんて書いちゃったけど、西と東を間違えてました。ああ、 恥ずかしい!! 訂正しました。2013.7.25

ま、うまくいくかどうかは別ですよ。ピーチは関空拠点がビジネスモデルの根幹だから、その手法をそのまま成田に移植するのはきついでしょう。でも、とりあえずは「ピーチだ」ってことでスタートは切りやすいはず。

日本のマーケットをあきらめきれないエアアジアはというと、別の出資先を模索している様子です。日本には、外資は単独で進出できないので、出資金の50%以上を出してくれる提携先を探さなくてはなりません。相手はイオンとかだったら面白いんだけどなあ。

もっとも、エアアジア・ジャパンが不首尾に終わったのは、エアアジア本社が自分ところのシステムや流儀に固執したため。ジャパン社に方に聞くと、改善要求を出してもエアアジア本社に迅速に対応してもらえなかったとか。外資にありがちな話です。そこのところを改善し、うるさい消費者が滅茶苦茶多い日本向けにある程度は手を入れていかないと、新たに乗り込んでも成功の芽はなさそう。

それから春秋航空日本の動向も気になります。B737-800を22機導入したというではないですか。報じられている「成田ー広島、高松、熊本」路線だけでこの数は多すぎる。路線網をどう拡充していくのか、こっちからも目が離せない。わくわくするなあ。こんな時代に遭遇できて幸せです。







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